第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「泣いてるじゃないですか」
こうしがからかった調子で言うと、
「ちがう。目に砂が入ったんだ」
と、否定し、毛繕いします。
「ウソウソ。でも、ちょっと風が吹いて寒くなってきたわね」
トラハムちゃんはぶるっとなっていました。
「あ……」
トラハムくんは心配そうに妹を見つめます。
「大丈夫よ、お兄ちゃん。ほら、寒いから帰ろう」
トラハムちゃんは兄の手を引っ張りました。戸惑っていたトラハムくんですが、だんだん笑顔になっていきました。
「待ってくださーい」
こうしもトラハムくんたちのあとを追いかけて行きます。
「オレたちも行こうぜ、ハム太郎」
「うん。丸井くん、木手くん、今回も世話になったのだ。ありがとうなのだ。またなのだ」
ハム太郎はタイショーと手を振りながら走り出しました。
「ああ、またな、ハム太郎くんたち!」
丸井は大きく手を振り、ハム太郎たちを見送っていたのでした。木手も隣でハム太郎たちが走る姿を温かい目で見送っていました。その後、何か思いついた様子で丸井に声を掛けます。
「それはそうと、鬼先輩から頼まれたおつかいのことを忘れてはいませんか?」