第1章 理想のペアとハムちゃんズ
木手はもはやこれまでと黄色いヘルメットの灰色と黒のハムスターを持ち上げ、ダッシュで走り出します。
すると、オレンジと白のハムスターたちの方が速かったか、木手の前にすぐに回り込み、追いついてしまったのです。
それでも、木手はダッシュで走ることをやめずに続けていたため、
「おい、木手、待て、待てって」
あとから追いかけた丸井が木手の腕を引っ張り、止めます。木手は丸井の手を振り払い、
「丸井くん、ヘルメットのハムスターは弱っているのですよ」
と、メガネを光らせて言いました。
「わかってるよ。だけど、もしかすると、動物病院に行っても仕方ないことをオレンジと白のハムスターたちは伝えたいんじゃないか?」
「だとしましたら、ヘルメットのハムスターはなぜこんなにもぐったりしているのですか?」
「うーん、単にオレたちみたいに喉が渇いていたからとか」
丸井たちの言葉がまるで通じたか、オレンジと白のハムスターたちはぴょんぴょん飛び跳ねます。
「それが正解だとしたら、水を飲ませるのが1番でしょう。自動販売機に売ってる水ではなんですね、ペットショップに連れて行ってお店の人に相談しましょうか」
「ああ」
今度はオレンジと白のハムスターたちに止められることはなく、丸井たちは黄色いヘルメットのハムスターを運びながら、ペットショップを探すのでした。