第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「そんなこと……!」
トラハムくんは木手の言葉にムッとなりながら返事をしました。
「あなた、ここでずっと意地を張ってるつもりですか? 今のあなたでは、どのみち彼女をつくって地下ハウスに帰るなど無理です」
「ああもう、またかよぃ、木手ぇ。あんま気にするな、トラハムくん」
「意地か。そうかもね。妹の笑顔がさ、ノッポのときは違ってて、それでムカッとなった。ノッポの前ではあんなに可愛く笑うんだって」
「トラハムくん……」
「彼女をつくりたいのは本当だけど、地下ハウスに帰りづらいのさ。家出したからね」
「ハム太郎くんたちに合わせる顔がないと? 仲間があなたを探しに来たのにそれでも地下ハウスに帰りづらいと? 今もあなたを懸命に探している妹たちを差し置いてまだ彼女つくる気でいると?」
ゴーヤーを片手に持ってトラハムくんに質問攻めしていた木手です。
「お前、さりげなくトラハムくんにゴーヤー食わせようとしてるだろい」
と、丸井は木手からゴーヤーを取り上げました。丸井がそんなことをするとは思わなかったようです。木手はフリーズしていました。
「わかってる。勝手だってわかってるよ。けど、オレが戻れるところはもうないんだ」