第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「ああ、ほら今、ガサって音がした。あっちにトラハムくんがいるんだ。トラハムくーん」
丸井が音のした方へ走って行くと、何かが飛び出して来ます。
「お兄ちゃんじゃない」
飛び出して来たものがネコと分かり、トラハムちゃんはガッカリします。
「ちっくしょい、トラハムくんじゃなかったか」
悔しがる丸井です。
「彼を見失ってしまいましたね」
そう言ったあと、木手は片手でメガネの縁を持ちました。
「ごめんな、ハム太郎たち」
丸井が謝ると、ハム太郎は首を横に振ります。
「気にすることないのだ」
「おい、向こうを探すぞ。まだその辺にいるかもしれねえ」
「はい」
「ええ」
「あ、タイショーくんたち、待つのだー」
タイショーを先頭に、こうしとトラハムちゃんがついて行ってしまい、焦りながら追いかけようとしていたハム太郎でした。
「オレたちも、もう少し探すぞ木手」
「ええ」
「頼んだのだ」
ハム太郎は理想のペアの方を振り返って言ったあと、タイショーたちの方へ走って行きました。
ハム太郎たちの姿が見えなくなってからのことです。
「もう出て来ていいですよぉ」
と、木手が背中に背負っていた荷物に顔を向けて言うと、みんなが追いかけていたはずのトラハムくんが出て来ました。