第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「うん、次、次!」
まだハムスターの女の子を誘い出すことを続けようとしていたトラハムくんでした。
「何度やっても同じでしょう。諦めていい加減、地下ハウスに帰ったらどうですか」
我慢が出来なくなった木手がそう言葉を発しました。
「お、おいキテレツ…」
はっきり言った木手に丸井は戸惑いの表情が隠せません。
「……絶対に帰らないよ。いえーい、いえーい!」
「トラハムくん!」
「絶対帰らないえーい、いえーい!」
トラハムくんはテンションを上げたまま、走って行ってしまいました。
「トラハムくん、傷ついてたぞ」
厳しい表情で言った丸井です。
「これ以上、ハムスターのナンパに付き合ってられません」
木手は両目を閉じ、鼻で笑っていました。
「オレ、このまま鬼先輩に頼まれたおつかい行って帰れねえよ。ほら木手、トラハムくんを探すぞ」
「……」
両腕を組んでまだ動かないでいた木手の肩に丸井は手を置き、
「お前、本当はトラハムくん心配してるだろう。こんなところで、じーっとしていてもしょうがねえだろい」
と、木手の二の腕あたりを両手で掴んで引っ張ろうとします。