第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「ちがう、ちがう、あの少年が持ってるハムスターの女の子のことさ」
「ああ、そういう意味ね」
丸井は木手と少年から少年が持っていたケージの中にいるハムスターに視線を移します。
「確かに良いじゃないですか」
木手は頭に大きなリボンをしたハムスターをよく見たあとに言いました。
「早速、声を掛けよう!」
丸井の荷物から飛び出し、大きなリボンをしたハムスターのところに行ったトラハムくんです。
「ちょっと…」
丸井は目を大きく見開いていました。
「やあ君、オレはトラハムくんだよ。オレとこのあと、遊びに行かない?」
と、トラハムくんは大きなリボンをしたハムスターを遊びに誘おうとします。
しかし、相手に思い切りそっぽを向かれ、トラハムくんはガクッとなりました。
「フラれましたね」
一部始終、ハムスター同士のやりとりを見ていた木手がそう言います。
「ふっ、あの子が運命じゃなかったってことさ。次だ次。いえーい、いえーい!」
「すげ、立ち直り早えー」
丸井が感心している間にも、トラハムくんは他のハムスターの女の子に声を掛けていました。
今度の相手は小学生くらいの女の子が持つケージの中に入っていたハムスターです。首に水玉のリボンを付けていました。