第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「あ、すみません」
「ありがとうございます」
「いや、お前らに頼みがあってな。かえでの餌を買って来てもらいたいんだ。明日は高校生で集まって会議が長時間あって町まで行ってる間がねえんだ」
「いいですよ」
「行って来ますよ」
「サンキュー。コーチにはオレから言っておく。明日、頼んだぜ」
鬼は理想のペアにおつかいを頼み、かえでの入ったケージを持って行ってしまいました。
「助かったな」
「助かったとは?」
「トラハムくんのこと、オレたちが練習を休まないとどうしても無理だっただろい」
「確かにそうですね」
「話は聞いてたぞ。明日は町へ出発だ~。いえーい、いえーい!」
マラカスを振ってジャンプするトラハムくんに、丸井は苦笑、木手は呆れ顔です。
一夜明けてから、理想のペアはトラハムくんを連れて朝早くU-17合宿所から出発し、町へ行ったのでした。
町に到着すると、丸井の荷物の中に入っていたトラハムくんがそわそわし始めます。
「どうした? トラハムくん」
すぐに気付いた丸井が聞くと、
「丸井くん、見て見て、あそこに可愛い子がいる」
と、トラハムが理想のペアとすれ違いそうになっている少年を見て言いました。
「可愛い子ってあの子かぁ?」
「どう見ても男の子ですが」