第2章 理想のペアとトラハム兄妹
「彼ら、心配しているんじゃないですか」
木手の声を聞いたあと、トラハムくんは一回マラカスを振りました。
「あいつらが心配なんてするもんか。ましてやタイショーの奴に勝手にしろって言われたんだ」
「地下ハウスのみなさん、トラハムくんの帰りをずっと待ってると思いますけど」
次にかえでが言うと、トラハムくんはもう一回マラカスを振ります。
「嫌だ。彼女が出来るまで地下ハウスに絶対に帰るもんか。当然、君たちにも付き合ってもらうからな」
これには丸井と木手は困った表情です。少年たちは顔を見合わせていました。
「お前ら、どうした。かえでの前で」
鬼十次郎がちょうど来て、ビクッと振り返った理想のペアです。
「いいえ、オレたち、かえでと話していたところで」
「丸井くん、そんな話、鬼先輩が信じるわけないでしょう」
「はっ、そっか!」
「どうした、お前ら。居残りの練習で疲れたか」
「ええ、それでかえでに癒やされていたところです。かえでを見てるだけで疲労回復効果ありますよぉ」
「おい、お前こそ、その手の話を鬼先輩が信じるわけないだろい」
「…そこで待ってろ」
鬼はすぐ近くにあった自動販売機で丸井と木手に飲み物を買っていました。飲み物を理想のペアに渡します。