第2章 理想のペアとトラハム兄妹
ある日の夕方のことでした。理想のペアの丸井ブン太と木手永四郞は、居残りで筋トレをさせられていました。サーキットトレーニングに遅刻したからです。
「45、46、47…」
「48、49、50…」
と、丸井と木手は数えて腹筋をしていました。
「練習が終わったあとの居残りでこれはキツいだろい。腹減ったなー」
「しっ、柘植コーチが遠くから見てますよぉ。腹筋100回に集中しましょう」
「げ…、あ、ああ」
丸井には柘植の鋭い視線が光るワシの目のように見えたようです。木手と腹筋のスピードを速めます。
「よし、今日はここまでだ。以後、遅刻するな。以上だ」
腹筋100回を終え、居残りから解放された理想のペアは水道水を飲んでいました。
「はあ~、うめ~」
「まったく、散々な日でした。遅刻の理由は寝坊ってことにしましたが、アレさえなかったら遅刻しなかったでしょう」
「トレーニングに向かう途中に出会ったハムスターのことか」
「まだ休憩ルームにいますかねぇ」
「行ってみるか」
丸井と木手はそのままの格好で休憩ルームに行きます。すると、ケージの中に入っていたハムスターのかえでと、ケージの近くで毛繕いしていたトラ模様のハムスターがいました。かえでは鬼十次郎のペットです。