第1章 理想のペアとハムちゃんズ
それぞれの場所でハム太郎とタイショーは喜んで頷き、案内をします。かえではこのとき、にこっと笑い、頷いていたのでした。
テニスコートのあるところまで来ると、ちょうど理想のペアは合流し、行き会うことが出来ます。行き会ったとき、丸井も木手も目を丸くしていましたが、微笑し合います。
「ここにお前、来るかと思って」
丸井が話し掛けました。
「やれやれ、今回はハムスターに振り回されてばかりですね」
「そんなこと言うなぁ、木手ぇ」
「うん、これでもう寂しくないのだ」
「ハム太郎くん……」
つい、また体育座りで後ろ姿で寂しそうに座っている木手のことを想像してしまいそうになり、慌てながら首を振った丸井です。
「丸井くん、かえでさんのあみぐるみのリボンの件、知っていますか?」
と、木手が訊ねました。
「ああ、ハム太郎くんから聞いた。どこかに落としてしまったってな。あ、かえで、いたいた。なあ、かえで、オレたちを追いかけてきたときに通った道って覚えてる?」
木手から訊ねられたことの返事をし、丸井はタイショーの隣にいた鬼十次朗のペットのかえでに声を掛けます。