第1章 理想のペアとハムちゃんズ
ハム太郎はにこっと頷き、
「わかったのだ」
と、先に走り出し、丸井を案内します。ハム太郎の案内で先ほどの自動販売機の前の場所まで来た丸井ですが、木手たちはいませんでした。
「ここだと思ったんだけどな……」
「タイショーくんとかえでさん、木手くんとどこまで行ってしまったのだ……?」
ハム太郎がそうつぶやいたときには木手たちは河原の方にいました。
木手はかえでのあみぐるみのリボンがないか、河原で探しています。すると、声を掛けたかえでです。
「木手くん、ワタシのリボンを探してくれているのはありがたいけれど、1つ忘れていることはないですか?」
「何ですか?」
「丸井くんのことです。君はここに丸井くんが探しに来ると思って来ましたか?」
「いいえ」
「それでは、このままUー17合宿所に帰っても齋藤コーチに合格は言ってもらえませんよ」
「………」
木手はなぜ、ハムスターにそこまで言われなければならないのかと、メガネを光らせ、かえでの方を見下ろしていました。
丸井の方も苦戦をしていたか、木手の行きそうなところを想像しながら、ハム太郎の案内でかえでのあみぐるみのリボンを探しますが、見つかりません。