第1章 理想のペアとハムちゃんズ
「かえでさん、ハムスターハウスからこっそり抜け出して、どうやら丸井くんたちのあとを内緒で追いかけてきたらしいのだ」
「何だって!? 鬼先輩、心配するんじゃ……」
「タイショーくんと一緒だから大丈夫なのだ。これから、合流すればいいのだ。それより、かえでさんから丸井くんがコーチさんの指示で木手くんと心を通わせないとならないことを聞いたのだ」
「あれ、何でかえでがそれを知っているんだろう。あ、もしかして、ミッションルームに呼び出されたときだ。あったなハムスターハウスみたいなのが。かえで、聞いていたのかな」
丸井は、かえでが齋藤コーチに預けられていたことに気付いていました。齋藤コーチの指示を聞いていたとき、ハムスターハウスが丸井の視界に入っていたようです。
「だから、かえでさんのご主人様が作ったあみぐるみのリボンを探して欲しいのだ」
「鬼先輩、あみぐるみ作るの得意っていったっけ? 柘植コーチのサーキット練習の休憩時間、水飲みに行ったとき、たまたま高校生たちの会話で聞いたかな」
「それで、それで、えっと、木手くんが行きそうなところも丸井くんに考えて欲しいのだ」
「ここで、どうして木手が出てくる……」
丸井は細目でハム太郎に言ったあと、真面目な表情で木手の姿を思い浮かべていました。今、木手はどこにいるだろう、と気になってきたようです。