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Villain【ツイステ短編集】

第1章 Look【リドル・ローズハート】


「な・・にもないよ。さあ、会議の続きに戻ろう。まだ決めるべきことはある。ケーキ当番はいつも通りトレイ、クロッケー当番に薔薇塗り係、それに・・」

しかし、リドルとてそう簡単に手の内を明かすほどガードの緩い男では無い。それとなく話題を逸らそうと試みてはみるが___きょとん、とした顔の2人を見て作戦は失敗したのだと瞬時に悟った。墓穴を掘ったらしい。

「いや、クロッケー当番はユウくんと監督生ちゃんでしょ?さっき決めたじゃん。ちょっとちょっとリドルくんってば本当にどうしちゃったの。流石に何もないでは___、」

「監督生!?」

「リドル!?」

がったん!!

リドルの立ち上がった勢いで妙に凝ったデザインのテーブルが大きく傾いた。細かな装飾にもこだわるハーツラビュル寮の家具はデザイン性こそあれど耐久性はいまいちなのだ。間一髪ケイトが押さえなければ今頃レモンティー色の絨毯ができあがっていたに違いない。

いつも騒ぐ寮生を注意する立場のリドル。
説教ではない大声とそそっかしい様子の寮長は2人以外の寮生からしても珍しい、というよりここまでくるとおかしい。

当の本人はお忘れのようだがここは談話室。夕食終わり、入浴終わりの寮生の憩いの場。

何事かとギャラリーが増え始め、もはや会議どころでは無い。もういっそここにいる奴ら全員首をはねてやろうか、いや、数刻前の自分の首こそはねてやるべきだとリドルは心底後悔した。

いや、落ち着け。まずは冷静に会議の続きを。
ギャラリーも心配そうな2人もことごとく無視し、何事もなかったかのように座り直したリドルの一言。

「・・何でも無いよ。だがクロッケー当番はエースとデュースにしよう。ユウには一年生の指導に当たって貰う。監督生は寮生じゃないんだ、準備を手伝わせては悪いからね」

「え~、いつも薔薇塗りさせてるのに?」

ごもっともである。散々薔薇を塗らせておいて何を言っているのか。

黙りこくったリドルに再度注目が集まる。随分静かになった談話室はリドルの次の言葉を心待ちにしているようでリドルはますます焦り、そして____

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