• テキストサイズ

Villain【ツイステ短編集】

第1章 Look【リドル・ローズハート】


ここは窓際。限りなく彼に近く、限りなく遠い席。

庭ではエースとデュース・・おまけに監督生が楽しそうに遊んでいる。この野郎、毎日毎日連れてくるな。たまにはオンボロ寮に大集合しやがれ。

なんて。

こんなことを考える時点で監督生には到底及ばない。
だって腐っても私はナイトレイブンカレッジ生。正式に闇の鏡に認められたハーツラビュル寮生。手違いは性別のみ。

心のあり方が、純真なあの子とは違う。

あの子がお姫様なら私は悪い魔女ってか。
なんなら魔女にすらなれないモブAですか。

おい、寮長。いつもの厳しい眼力はどこだ。

大きなアーモンド型の瞳が柔らかく、優しく細められている。慈しむような、愛しむようなそんな顔。

この気難しい寮長がそんな表情を見せる相手は学園中探しても監督生か100歩譲ってトレイ先輩のイチゴタルトくらいしかないのでは。

赤き支配者が女の子にでれでれとか笑われるぜ。

なんて本人に言おうものなら私の首が飛ぶので口が裂けても言えないのだが。心の中で悪態をつくくらいは許されたいものである。

仮にリドル寮長が読心魔法なるものを習得した場合命が何個あっても足りないのでそんなプライバシーもへったくれもなくなる魔法は未来永劫開発されないことを祈る。

「そんなにユウたちが気になります?」

ふと、少しくらいこっちを見てくれてもいいじゃんと言いたくなってそんなことを聞いてみた。

ユウ”たち”にしたのは自分のための予防線。

___監督生のこと気になります?

___そうだね、気になる。

なんて言われてしまったら私は人目も気にせず大泣きして監督生に殴りかかってしまう気がする。
もっともただの嫉妬であり彼女には微塵も非が無いので逆恨みもいいところだが。

瞬きをひとつ、ふたつ。私の方へと顔を向けた寮長は「何故だい?」と不思議そうに聞き返してきた。

「だってずっと窓の外見てるので」

窓の方を一瞥してからそう言うと、彼はアイスグレーの大きな瞳を大きく見開いて、それから私の顔と窓を忙しなく見比べて、それから観念したように息をついて、顔を隠すように片手で覆って気まずそうに視線を落とした。

「・・ば、ばれて…」

むしろばれていないと思ってたなら頭の中お花畑ですよ。
ついでにその真っ赤な顔も。
/ 14ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp