第1章 Look【リドル・ローズハート】
「お前監督生とよろしくやってるってまじ?」
「なんて?」
「だから・・リドル寮長と監督生取り合ってるって」
「なんて???」
「昨日寮長がユウと監督生を会わせるなってキレたんだってさ」
「なんだって???」
神様。私が何をしたって言うのでしょう。
毎日毎夜、監督生が早く元の世界に帰れますようにと下心込みで祈っていたのがまずかったのでしょうか。
それとも、念の為アズールくんから恋人別れ薬(仮)の作り方を教えて貰ったのがアウトでしたでしょうか。
心当たりが無いわけでも無いですが、どれも他人に危害は加えていないのでセーフでは無いでしょうか。
元も子もないことを言うと性別を偽り学友を騙しそこそこ楽しく学生生活を謳歌していた罰が当たったのでしょうか。
にしてもこの仕打ちはちょっとやり過ぎなので私の中で神様は糞野郎になりました。おめでとう。
翌朝、ナイトレイブンカレッジ食堂。
周りの生徒から異常に視線を感じると思えばこれである。
寮で会ったときから妙にそわそわしていた友人から突然の爆弾投下。
まさか女だとばれた・・!?と見当違いな心配をしていたから良かったといえば良かったのだが良くは無い。なんなら良くは無いどころか悪い。
誰が好き好んで当て馬役に立候補するんだ。私は少女漫画でいう「あんなやつやめて俺にしとけ(イケボ)」とかいうポジションじゃないです。なりたい願望すらありません。
どうしてこんな噂が、なんてとぼける程純粋ではない。ことの原因は間違いなく・・昨日の会話。私が監督生に好意を寄せていそうな発言をしたせいで寮長が監督生をとられてしまうと慌てたのだろう。
私が女だとも知らず彼もいらぬ心配をするものだ。
糞野郎もとい神様は腹を抱えて大笑いしているだろう。すれ違いコントはフィクションだけにして欲しい。