第21章 女としての痛み
私はゆっくりと訳を語った。
「私はユグドラシルに来る前の世界では人間だったの。セバスがツアレ、あの女をボロボロな状態で連れ帰った時はなにも思わなかった。
でも今日、何故あの子があんなにボロボロになってしまっていたのか、原因をみたの。下賤で汚い下等種族に無理矢理犯され、蹴られ、殴られ、首を絞められた…強姦されているところをこの目で見てしまったのよ。
もし、もしも人間だった頃の私があんなことになってしまったらと思うと、恐ろしい。無力でなんの力もない頃の私がそんなことになったら、悪魔でも死神でもしがみつきたくなるもの。
今はナザリックの至高の42人の一人として生きているけれど、同じ女性として、人間でも見逃すことができなかったのかもね…」
ありえないけど、もし、もしリアルの私がそんな犯罪に巻き込まれ、あんな状態になってしまったと思っていたら体が震えていた。
そんな私を驚愕の表情で見るデミウルゴス、コキュートス、ソリュシャンが頭を下げた。
「申し訳ございません。私の愚かな質問で貴方様を傷つけてしまいっ!レミエル様のお顔を曇らせ、涙を流させてしまう等守護者としてあるまじき行為!!どうか罰をお与えください!」
「え…?」
涙、そう言われて顔に触れると確かに私は泣いていた。無自覚に涙を流していたせいか、自覚したら涙が溢れてしまった。
「何故レミエル様があの人間にお優しくしていたのか、深く考えず、そしてそのようにお心を痛めていたことに気が付けず申し訳ありません」
「いいえ、私が話していなかったから起きてしまったこと、貴方たちが謝罪することはありませんよ」
止まらない涙を拭っているとセバスが部屋に入室し、私を見て慌てていた。そしてすぐにアインズも部屋に戻ってきて、私を見て口をあんぐりあけてオロオロした。
「どした!?」
「ぐすん、大丈夫。なんでもないから」
「…すまない。先程、私の怒りをお前に向けたことで傷つけただろうか…?」
「違うの…、それは私がアインズに、報告しないでセバスに任せていたから、貴方が私に怒りを向けるのはわかってた。そうじゃなくて…」
まだ涙が止まらない私を見かねてソリュシャンが先程の事をアインズに伝え、そしてセバスも日中に見たもの補足をして、アインズがあからさまに私に申し訳なさそうに私に触れた。