第2章 終わりの始まり
動き出す時計に驚いて瞳をあけるとまだ私たちはナザリック、玉座の間にいた。
「「ん?」」
「ど、どういうことだ?サーバーダウンが延期した?」
「そんなまさか…」
モモンガさんが指でシステムコマンドを動かしてるみたいだけどとてもイラついてるのがわかる。私も操作しようと指を動かしたけど何故か表示されない。本来あるはずのシステム一覧さえ見当たらない。
「どういうことだ!!!!!」
彼の怒号が玉座の間に響き渡った。そしてそれに返事をしたのが私ではなく・・・。
「何かございましたか、モモンガ様、レミエル様」
「…セ、セバス…?」
「はい、いかがなされましたか、レミエル様」
「い、いえ、なんでもないわ」
頭の中がグルグルする。セバスが喋った?NPCだよ?という私の疑問は、理解の早かったモモンガさんに一掃された。
「どうするべきだと思う」
「如何すべきとは?」
「GMコールが効かないようだ」
「GMコールというものは私は存じておりませんが、私は何をすべきでしょうか。ご命令を仰っていただければ直ちに行動に移します」
NPCと会話が成立してる!?そんなことはありえない!、だけど彼の口は動いていて彼から声が発せられている。
「モモンガさん、ここ、何かがおかしい…!」
「わかっている…どうすればいい…何が最善だ…?」
モモンガさんも混乱してる、秘書の私が狼狽えてちゃダメだ!しっかりしろレミエル!!
「モモンガさん、とにかくまずは何が起こったか情報と、現在の状況の確認が必要です。何者かの奇襲である可能性も視野に入れて捜索はいかがでしょう」
「うむ、そうだな・・・情報だ、セバス。大墳墓を出、周辺を確かめよ。もし仮に知的生物がいた場合は交渉し交友的にここまで連れてこい。交渉の際は相手の言い分は聞かなくて構わない。範囲は周辺1キロだ」
「戦闘は極力避けて、速やかに情報のみを集め帰還なさい」
「かしこまりました」
「プレアデスの一人はセバスの補佐を」
「「「「「「直ちに」」」」」」
「セバスに着いていく一人を除き、他メイドは各階層守護者に連絡を取れ。そして第六階層まで来るよう伝えよ。時間は今から一時間後。それが終わり次第第九階層の警戒に入れ」
「「「「「「はっ」」」」」」
そして玉座の間に二人だけとなった。