第6章 秘書は王の過保護に憂う
セラフをすぐに戻し、再びティーカップに口をつけた。
「これはここの切り札。これの使用はアインズの手に握られているからその時が来ないことを祈るばかりよ。でもこの力を使うとき、それはナザリックに危険が訪れた時。そうならないように最善を尽くしましょ」
「はっ」
それから私天使状態維持は約2時間程で根をあげた。セラフを使って2時間だからよく耐えたほうだと思うけどね。
「それにしてもまったくあの人は過保護なんだから…」
「アインズ様のことでしょうか?」
「そう、ユグドラシルにいた時からずっとなの。強いの知ってる癖に危ないからとか、他のギルドから勧誘来るかもとか、何かと理由をつけて外には出そうとしなかったの」
「アインズ様の仰るとおりです。レミエル様は大変お美しく、万が一にもレミエル様が他のギルドに行ってしまう等考えるだけでっ!!」
アルベドもこっち側の思考だったぁ・・・
まぁアルベドはNPCだし、私がアインズ・ウール・ゴウンにいないと主ではいられないもん。
「落ち着きましょ?…ユグドラシルにいたときは私も別に気にしなかったんだけど、この世界に来て、外に行ってみたいって願望があるから今更ながらに気になってしまっていただけだから」
「レミエル様も地上へ行きたいのですか…?」
「興味があるだけよ。それにアインズの情報だけじゃいつか遅かれ早かれ手詰まりするからそうなる前になんとかしたいって思いもあるの。
それにこれじゃ私の本来の役目ができないんだもの」
アインズはちゃんと情報を持ってるけど私とじゃ量が違いすぎる。
この世界、エランテルの事をやっと把握出来たのにアインズはそれ以上の情報を冒険者として手に入れてる。
私、秘書として役に立ってないなぁ…
「はぁ…憂い顔もお美しい……」
「あはは…」
「このお話はアインズ様にご提案はされたのでしょうか?」
「したけど却下されたわ。理由はさっき伝えた通り、まぁ別に今すぐここを離れるのも得策ではないからワガママは言わないわ。だから忙しいだろうけどたまにのんびりティータイムに付き合ってくれないかしら?」
「もちろんです!レミエル様がお呼びくだされば即座に参ります!」
「ありがとう」
それから急にナザリック内に強大な力が現れたことに少しだけ混乱を招いてしまっていたと後々ユリから聞かされた。