第17章 一撃必殺
…悪い子ではない。
けれど、このやり方はダメだと思うのです。
「弱い人から死んでいきます。それは仕方のないことです。鬼殺隊が弱ってしまっては、鬼を滅ぼすことなどできません。だから弱い人を鍛えよう…不死川くんのその考えと行いは素晴らしいと思います。」
私は一瞬間をあけて続けた。
「でも、あなたがしたことは私が今したことと変わらないのです。」
「……!」
「強くならないのではないのです。なれないのです。誰しもが柱になれるわけではありません。一生癸の人もいらっしゃいます。呼吸がうまく使えない方もいらっしゃいます。
不死川くんは、そのことを理解しなければならないのです。私たちのように、鬼殺隊の最高位にいる者は特にです。」
不死川くんはギリ、と歯を噛み締めた。
…納得してないですね、これ。
「じゃあ今回の稽古はここまでで良いですね。」
「……」
「もういいんスか?」
「ええ、今日は帰りましょう。宇髄くん。…申し訳ありません。」
「まあまたやりましょうよ。今度は俺と二人で!」
「そうですね。今回は…お館様には謝らないといけませんね。」
私が何気なく言ったこの言葉が、どうやら不死川くんの何かを動かしたらしい。
なんというか、ピリッとしたものを感じ取って彼を振り返ろうとした。が、その前に私は腰を掴んだ。
え、とかなんとか思うと同時に宇髄くんが驚きの形相で私の元へ駆け寄るのが見えた。
そして、私の視線が反転した。
状況を理解したのは痛みが走った後だった。
なんと不死川くん、私の腰を掴んでそのまま後ろに反り返り、私の頭を地面に叩きつけたのです。
いた。え、いった!!!!!!!
私は頭から地面に突き刺さり、足はばたりとなすすべなく地面に落ちました。
不死川くんは美しい海老反り。わあ、なんと柔らかい背筋でしょう!!!