第17章 一撃必殺
不死川くんの目が覚める頃には隊士たちはみんな帰ってしまっていた。
もうやりたくない、と稽古を辞退したのだ。
静かになった屋敷に不死川くんが怒りをあらわにする。
「どいつもこいつも気合いが足りねぇ…」
「……俺もう帰りたい」
「奇遇ですね私もです」
宇髄くんと私はため息をつきました。
「おいおい不死川、どうしてこんなことになったかわかるか?」
「はあ?俺が知るかよ。」
「知れよ。」
宇髄くんが頭を抱えた。
「……わかりました」
私は立ち上がる。
「不死川くん」
「…何スか」
「私が“本気”であなたの相手をします。」
「は?」
彼は顔をしかめた。
「私と君で手合わせをしましょう」
竹刀を投げると難なく受け取った。宇髄くんが察したのか、彼は黙って縁側に座り込んだ。
私と不死川くんは向かい合って立つ。
「宇髄くん、頼みます。」
「は〜い」
宇髄くんは手を挙げた。
「はじめ!」
彼の手が下におろされた瞬間、私は飛び出した。不死川くんは目を見開く。
この段階で動き出しもしないのは遅すぎる。
「垂天遠霞」
喉元をつくと、彼は咳き込んだ。その勢いを殺さずに顎を蹴り上げた。
地面から浮いた彼の体を竹刀で地面に叩きつける。
倒れた彼の髪の毛を掴み、私は無理やり立たせた。
「気合いが足りませんよ?」
「…く、そッ………ッッ!!」
まだ何か言う前に首元に竹刀を叩きつけた。
彼は地面を転がり、少し先に倒れ込んだ。立ち上がろうとしているが、背中に竹刀を叩き落とした。
「気合いが足りないから弱いのですか?」
そのまま彼の脇腹を蹴り、転がせて顔を上に向かせた。
「あなたが弱いのは気合いのせいですか?だから下の隊士をいじめてもいいと言うのですか?」
「ッ……」
「あの子たちが私たちより弱いのは当たり前です。稽古とはこのような弱いものいじめではありません。」
「俺が弱いって言うのかよ…!!!」
不死川くんは立ち上がる。
もうボロボロで、息も絶え絶えと言うような感じだった。
「私からすれば、君も癸の隊士も変わりません。」
「ッ!!」
私はにこりと笑った。