第17章 一撃必殺
不死川くんが私の腰から手を離す。
私はひっくり返ってばたりと倒れる。それを見て満足げに彼は立ち上がった。
「馬鹿野郎!!何やってんだ!!下手すりゃ隊律違反だぞ!!!」
宇髄くんが怒鳴るも、彼は知らんぷり。
「おい、大丈夫か霧雨さん!!なあっ!!しっかりしてくれ、あんたが倒れたらおしまいなんだぞ!!!」
宇髄くんにゆさゆさ揺られてだんだんと意識がはっきりしてくる。
「はうあッ」
「え、何その悲鳴」
「……い、生き返りました。すみません。」
私がはあ、と息を吐き出した時に不死川くんが初めてこちらを振り返った。
両手を震わせてワナワナしている。まるで信じられないものを見るような顔だった。
「ほ」
「?」
「ほっっっっっそおおおォォ!!!!!」
不死川くんが急に叫び声を上げた。
宇髄くんと二人で飛び上がるんじゃないかってくらい驚いた。
「し、不死川?」
「あんた細すぎんだろォ!!普段どんな飯食ってんだよ!!なんでそんなに細くてあんな力出るんだよ!?」
ギャアギャアとまくしたてられ、私は逆に黙り込む。
しかも宇髄くんは何を思ったのか私の腰を掴んでひょいと持ち上げた。
「…細っかるっ」
「だろォ!?」
「霧雨さんって隊服で分からないだけでかなり細いんだな。」
私は二人の会話を聞いてにこりと笑った。
「帰っていいですか?」
いったいなんのためにここにいるのか分からなくなってきました。頭もズキズキ痛いですし、さっさと帰って休みたいです。