第16章 今日という日が 【不死川実弥誕生日記念】
柱合会議が終わり、そろそろ帰ろうかという時にみんなが何やら話し始めた。
柱とはいえ、会えるのはたまにだけ。だからこういう時間も必要なんだろうと思う。
私は特に話したいこともないのでさっさと帰ろうとしたのだが。
「霧雨さんの誕生日っていつよ」
……何でそんな話になったんです???
唖然として固まっていると、宇髄くんが説明をしてくれました。
「いや、ちょうどひと月前くらいに俺の誕生日だったんだけどよ、次は誰だろうって話になってさ。」
「はあ、なるほど?」
「で、いつなんすか。」
……正直な話、知らないんですよね。
興味がないので覚えていませんし。
「私は当分先です。……桜が散る頃ですよ。」
「へえ。春なのか。」
「まあ、はい。」
多分。
そう言いたいのをグッと堪えた。
今まで誕生日なんて…祝ってもらったこと、あっただろうか。
…一度だけあるような、ないような。そんな気がするけれど。
もう忘れてしまった。
「じゃあ次は誰なんだ〜?胡蝶も先だしなあ。」
「次は誰って、そんなの」
そこまで言いかけて背後からちっと舌打ちが聞こえた。
振り返ると不死川くんがいた。
「くだらねェ」
「まあ、待て待て待て」
帰ろうとするのを宇髄くんが止めました。
「派手に気になるじゃねえか。」
「ならねえよ!」
「まあ〜そんなにカリカリしなくても。」
胡蝶さん…カナエにたしなめられ、不死川くんは少し大人しくなった。
「でもそうだとすれば次の誕生日は霧雨さんってことになるのか?ずいぶん間が空くんだなあ。」
「連続して誕生日がくるということもなかなかないだろう。」
「そう言う悲鳴嶼さんは夏だしなぁ。」
ああ、行冥も話に入っていたのか。…この人、そういう話にわりと首を突っ込みがちですよねえ。
「どうして宇髄くんはみんなの誕生日がそんなに知りたいのですか?」
「そりゃ、俺も祝われたんだから祝ってやろうと思いますよ。」
…はあ。そう言うものだろうか。
私はちょっとだけ首を傾げた。