第13章 心だけだと耐えていたのに
ただ、私はそれほどの関係ではないと言われているようで悲しかった。
「どうして泣くのよ」
は女々しい私の涙をよく拭ってくれた。
「好きよ、好きよ行冥。大好き。だから泣かないで。」
「…ああ、好きだ。」
「私も好きよ。」
嘘はない。
嘘はない。
「………愛している」
嘘など。
「………」
いつも、お前はこの言葉に答えなかった。
黙っていた。
私は、知っていた。
それほどの関係ではなかったことを、知っている。
私がどれほど狂おしく愛しても、お前は愛という言葉をくれない。
「…わかんない」
突然、生まれたての幼子のような、甘えたような、そんな声を出した。
「“愛してる”は、わかんない」
嘘ではない。
嘘などない。
ああ、わかっていた。知っていた。
は愛を知らない。
愛とは何かをわからない。
だから、愛してると私が言っても意味がわからずにただ困惑した。なるべく言わないようにとしていたがつい言ってしまうことがあって、その度に申し訳ないと思うようになった。
「」
だがその日の夜、私は彼女を布団の上に押し倒した。
幸いと言っていいのか、お互いの烏が任務を告げにくることはなかった。
「……どうしようっていうの」
手を握りしめる。指を絡めるとひどく冷たいのがわかった。
「…怖い」
初めての夜、は始終声が震えていた。