第2章 ×柱の人生ーその壱ー
雷はますます強くなり、たどり着いた場所は…多分綺麗な場所。
町外れも良いところだ。
こんな田舎。しかも、家も目につく限りここだけ。膨大な畑しかない。そのくせわりと大きな家。
俺はまず色んなことを置いておいて、何か盗もうと思った。ここに来るまでに美味しそうな団子を売る店を見つけたので、どうしても食べてみたく思った。団子なんて食べたことなかったけど、何か美味そうに見えた。
雷が見える。
チカチカしている。
けれど、ひとまず窓から覗いて人がいないことを確認してから入った。
家というものがなく、今まで外に暮らしていたので生まれて初めて家に入った。案外暖かいんだな、というのと。
案外、俺がバカなんだっていうのと。
「えっ?」
綺麗な顔だなと思った。
つり上がった目は決して嫌なものではなくて、今まで見たことないくらいつんとした鼻はほどよい大きさで、唇は薄くて紅も引いてないようなのに真っ赤だった。
男なのは見てわかる。けど、髪は腰まであって、つやつやしていた。
「誰だよ、お前…!!」
声が低いでも高いでもない。女と言われれば女だし、男と言われれば男だ。
「……?」
「あっ、物取りだなお前!!」
そいつは女とは思えない俊敏な動きで、俺をガッと捕まえると部屋の柱に縛り付けた。
およ、と思っているうちに俺は身動き一つ取れない。
「ふん、師範が帰ってきたら警察に叩き出して…」
そいつは俺を改めてまじまじと見て、言葉を止めた。
「……。」
少し黙ってからパタパタと走っていった。
次帰ってきたときは、見覚えのない男を連れてきた。
「天晴…なぜに俺を連れ戻すんだ」
「先生、あいつ」
変な音がすると思ったら、その男の足がおかしかった。
明らかに木でできている。
あんなやつはよく見てきた。足がないやつは木をさすんだって教えてもらった。
この男も足がないらしい。