第7章 僕だけに見えるもの
柱になってから、僕はまたアレに会った。
「あら?」
にこにこ笑って近づいてきた。
……綺麗な子だな。
その子の名前は霧雨といった。名前もかわいかった。
それから、僕らは仲良くなった。
柱は独特な人が多くて、僕は打ち解けることができなかった。特に悲鳴嶼くんは体が大きくて、怖くて、挨拶さえできなかった。
余計なものまで見える僕と違って、悲鳴嶼くんは何も見えないみたいだった。
「悲鳴嶼くん」
とは、気が合うのか仲良く話しているのをよく見た。
けれど、それだけとは思わなくて。
ああ、そうか。
その男なのか。
「悲鳴嶼くんと仲良いんだね」
一回だけそう言ったことがある。
「そうでしょうか」
変に誤魔化されて、逆に確信してしまった。
宇髄っていう、これまた体のでかい奴がいた。
僕はこいつも苦手で、全然話せなかった。
「なあ木谷さん、あんた霧雨さんのこと好きだろ」
そう言われて、僕は無視できなかった。
「そうだね。好きだよ。多分、これ以上好きになる人いないと思う。」
素直に言うと、いつもおどおどしている僕が急に饒舌に話して驚いたいるらしかった。
「でも、あの子は悲鳴嶼くんと…でしょ。」
「何だ、知ってんすか。」
「…僕は目が良いからね。」
昔から、見えないはずのものが見える。いわゆるお化けってやつから、人の感情の色が見えるんだ。文字も色とりどりに見えて、手紙なんかは目が疲れる。
…何人に一人かにこういうのがいるらしい。僕の家は全員そうだった。