第6章 霞とボタンと解放感
という作戦で数日が過ぎた。
実弥はボタンをちゃんと閉めていたが、ある日。
私より遅く帰ってきた実弥はどしどしとうるさく私に接近した。
やめろとか嫌だとか言う前に、実弥はあっという間に私のシャツのボタンを三つ開けた。
嘘でしょ、とか思っていると次の瞬間には自分のボタンも開けていて、そのまま安心したようにズルズルとへたりこんだ。
「………実弥くん?」
「無理だ……」
「いやいやいや」
私は開放的な胸元をとんとんと叩いた。
「あなた、こんなんじゃいつかクビになるよ!?PTAから苦情来るよ!?」
「そんときゃ説得する!!!!!」
「どうやって」
ちょっと気になるじゃないか。
「はぁ、すんげェストレスなんだよォ…もう耐えられねぇ…。」
「さ、実弥実弥オーバーだよ、もうちょっと頑張ろうよ。」
「無理だァ~。」
へたりこむ実弥に視線を合わせて慰めるが、もう諦めモードだ。
「じゃ、じゃあ私も明日からこれで出勤して…」
「…それは許さねェ」
「何で」
実弥は大袈裟なため息をついた。
「理屈じゃねえんだ。閉めるとストレスでよォ、イライラしちまうんだよォ。」
「わかったわかった、もう何も言わないから。はいはい私が悪かったです!!」
実弥はしばらくぺしょんと落ち込んでいた。
ので、しばらく謝りたおした。