第5章 岩が霞に笑うのでーその壱ー
「女でも鬼殺隊になれるんだわ!」
「ええ、そうみたいね!」
……余計な知識を与えてしまった気がする。
「まぁ否定はしませんが。」
「やった、やったわ姉さん!!」
姉妹は私をよそにきゃっきゃとはしゃいでいる。
「……どうしましょう、霧雨さま。」
「まぁ気はそらしましたし…今のうちに逃げましょうか。ちょっと失礼しますよ、あなた。」
私は隠の彼を担いで一瞬でその場を去った。
隠の彼は私にお礼を言ってきた。良い子だなぁ、と思って別れた。
そして、数日後。
行冥に手合わせを頼まれていたのでお昼前に彼の家に向かいました。
昼は一般人が多い。刀を隠して移動しました。
手土産に和菓子を買って行った。
「こんにちは」
到着し、玄関の前で声をかける。…いつもならこれででてくるのですが。
「…?」
気配がしました。トトトトト、と軽やかな足音が中から聞こえます。どう考えても彼のものではありません。
「はい、こんにちは」
戸を開けて出てきたのはかわいらしい女の子…
「あら」
「あっ!あの時の!」
あの日にあった姉妹の妹でした。
さすがに混乱して、何も言えずにいるとまた軽やかな足音が聞こえました。
「しのぶ、どうしたの?」
「お客様が来て、出たらこの人だったの!!」
「あなたは…!!」
…参りましたね。気配からして、行冥は奥の部屋のようですし。とりあえずは会って説明してもらわなくてはどうにもできません。
「すみませんが、この家の主人を呼んでくれますか、かわいい子供たち。霧雨という人がきたと言えばわかるはずです。」
「はい、わかりました。」
「ふん」
妹は私を睨んでから行きました。
しばらくして、いつものどしどしとした重い足音と、軽やかな足音が二つ聞こえました。
「あなた、いつから継子をとったのですか?」
姿が見え、そう聞くと彼は顔をしかめた。
「そんなものをとった覚えはない」