第4章 旧水柱は仲良くなれないー永遠ー
攻撃の勢いは死んでいなくて、そのまま二人もろとも吹っ飛ばされた。地面に叩きつけられることはなく、全て霧雨さんが庇ってくれた。
そんなことされたところで、絶対死ぬだろうけど。
「がっ、く」
霧雨さんが軽く呻き声をあげる。
…骨がきしむ音した。大丈夫かな。
「霧雨さん」
落ち着いたところで、声をかけた。
「僕のこと、恨んでる?安城さんのこと」
安城さんは名前を呼ぶ限り生きていた。けど、僕が呼ぶのはやめるように言ったその瞬間に死んだ。
「いいえ。」
霧雨さんは笑っていた。ぎゅっと僕の手をつかんだ。震えていた。初めてのことだった。
「いいえ…!!!」
霧雨さんは笑っていた。
「ごめんなさい、間に合わなくて、ごめんなさい、安城殿の時も、私が足を引っ張ったからなんです。」
……。
優しい、人だな。
嫌われもので、たまに恐ろしくて、でもすごい人。
「霧雨さんの、せいじゃないよ」
あ、しゃべるの苦しくなってきた。
「……柱にも、助けられないもの、あるよ」
一番最初の会議で、僕はそれを知った。
「ありがとー…霧雨さん、僕、楽しかったよ」
「本当なら、ッもっと楽しい人生ですよ、楽しいだなんて世迷い言です…!!!」
霧雨さん。
あぁ、そうなんだ。
そんなこと言えたんだ。
本心かな。これがあなたの本心なのかな。
相変わらず笑ったままだけど、そういうことかな。
「あなたが、それを言わないで…僕に、楽しいって思わせてくれた、あなたが」
「…桜くん」
あぁ、もう時間がないな。
さあ、言い残すことを考えようか。
「霧雨さん」
僕らしく、最後まで胸張っていよう。
そして。
ハルナに会いに行こう。
「あとはあなたと……」
ポツポツと話す。
霧雨さんは、聞いてくれていた。
あぁ、もう一度。
……もう一度でいいんだ…
…なかよく…なかったけど、なれなかったけど、さ
……もう一度。
みんなに、あいたいよ