第18章 寂しい気持ち
私はあの方が好きだ。
心が綺麗で、そばにいると落ち着く。だからとはいえ、間違ったことを言ってるなぁと思えば言い返したりしますけどね。
桜くんはどうなんだろう、と思っていたけど…そもそもお館様に対して深く考えていなかったなんて。
「結婚するのはいいけど報告は特にいらねぇわ…。僕、ああいうの苦手だし。おめでとうって言えばいいんだろうけどさぁ。」
彼は深いため息をついた。
「このギリギリで余裕のない状態であんな報告してくるか?」
「…こんな状況だからですよ。お館様は今後も鬼殺隊を支えていくおつもりなのです。」
「それはわかるけど。」
「でも、びっくりしましたよね。ああいう…あたたかい感情、私は苦手です。」
結婚の報告があった時に、お館様は確かに嬉しそうだった。
「わかる。わかるわぁ。僕らにどうしろってんだよ。結婚の祝い方とか知らねんだけど。てか報告とかいらんわ。事後報告でいいんだわ。」
「……あまね様、綺麗な人でしたね。」
「それはそう。」
桜くんはうんうんと頷いた。
つまり、こういうことである。
私たちはまだまだ未熟で、結婚というものが未知なのだ。むず痒いのである。結婚と言われて戸惑い、恐れ、どうしたらいいのかわからなくなり逃げたというわけである。
おめでたいのかもしれないが、私は自分の両親のことがあるので結婚と言われても良いものとは思えないが。
「これから顔を合わせる機会も増えるんでしょうか。」
「かもね。てか今日の会議どうするよ。」
「いいんじゃないですか?ここ最近、二人で行動してますし毎日が柱合会議になってますよ。」
「それはそう。」
桜くんはまたしてもうんうんと頷いた。
それから帰り道にお高い甘味を食べた。そして二人で夜になるまで桜くんの屋敷で休憩をとり、夜は元気に鬼狩りに勤しんだ。