第6章 増えていく謎
真白の顔が絶望に染まる。
思い出したくもない男の顔。しかしどんな表情で真白を抱いているのか、嫌でも脳は記憶している。まざまざと感じる色気。処女膜を貫かれるその瞬間______
「はぁ、っ、はっ……ぃや……」
「落ち着いて、真白」
過呼吸になりかける寸前、律が頭を撫でて優しい声色で真白に語りかける。
「大丈夫、大丈夫だよ。今目の前に居るのは俺。」
「なんでしってるの………!!!」
半ばヒステリック気味に叫ぶ。
何故知っているのか。真白の初体験を。
その時律には会っていない、もちろんそんなことがあったという話もしていない。知っているわけが無いのだ。おかしい。
半狂乱になって睨む真白を見ても、律の愛おしそうな目つきは変わらない。むしろ更に慈愛の色は濃くなっているかもしれない。
「知ってるよ。俺は真白の事なーんでも知ってる。」
その瞬間。
少し…律の目に、妖しい光が宿って見えた様な……気がした。いつもの優しい律とは別人。欲望と執着。律はそんなものにまみれているような目はしていない。
「だれ………」
「ひどいなぁ。優しい律お兄ちゃんですよ?いつも通り優しくて甘えさせてくれて……そんなフリして真白を犯したくてしょうがなかった俺。」