第6章 増えていく謎
「ん……っ、ふ、」
ろくに動かせない真白の舌が、律の舌に絡みとられ、吸い付かれる。空いた唇の隙間から漏れる律の息遣いがひどく淫靡で、目が合った瞬間どきりとする。
そのままちゅっ、と1つリップ音がしてキスは止まる。しかし律の顔は離れず、近い距離で真白をじっと凝視している。何か愛おしいものを見つめるような目で。
「ふふ。あー可愛いなぁ」
「……へ?」
「とろん、ってしてるよ。真白の目」
とろん………?
よく分からないが自分はそんな目をしているらしい。熱のせいか、律のせいかも当然分からない。
思考がろくに働かない頭で、真白はぼんやりとこのままでいいのか考えていた。なぜぼんやりなのかというと、今も律に組み敷かれ脱がされているといるのに、危機感が余りわかないからだ。律には本能的に絶対の信頼を寄せている。これはなにかの冗談で、真白が本当に嫌がったらすぐにやめてくれる。律に対するそんな甘い考えが、真白の根底にある。
だから、大丈夫なのだと。
むしろこの行為は真白のためにしてくれているものなのかもしれない。律はそういう優しい人だ。いつも真白の為を思ってくれて、真白が我儘を言ったっていつも困った様に笑って叶えてくれる。律の怒った顔は、見たことがない。
「真白は俺に抱かれたかった?」
「え……?」
「初めてのセックス。どうだったかな、気持ちよかった?」
真白の脳内に、最悪の初体験が思い起こされる。
「な……ん、で、しってるの………」