第6章 増えていく謎
初体験で思い知った、あんな痛みと辱めがセックスだと言うのなら、真白はもう二度としたくない。たとえ世間一般があれを受け入れていても、真白には無理だ。強烈に記憶に刻まれているあの男とのセックスが、最早トラウマに近い。確かに途中から記憶が無いが、初めて挿入された時の身が引き裂かれる痛みは、今でもハッキリと思い出せる。未開の膣を、無理やりひらかれる、あの痛み___。
「やめて…もぅ、やめてぇ……りつくん……」
初体験の辛い思い出と、律にもたらされる快感に眉根を寄せ続け、とうとう真白は涙を流した。ぽろぽろと雫が頬を伝う。
「真白……どうして泣いてるの?そんなに俺がいや?」
「ちが…ちがうの………でも、もうやめて……」
「…もしかして、セックスそのものが怖いの?」
律は胸を弄る手を止め、真白の頬を優しく包む。顔を覗き込んでゆっくりと泣いている理由を聞いてくる律は、いつものお兄ちゃんな感じがして、真白は少し安心する。
直接的な質問に恥ずかしくなって何も答えないでいると、勝手に納得したのか律は温度の低い表情になり、目を細める。
「…………間違いだったかな」
「え……?なに、?」
ぼそりと呟いた言葉は真白に届かない。
誤魔化すようににこりと笑い、それ以上答えてくれない律は、真白の涙を優しく拭き取って頬にひとつキスを落とす。
「大丈夫だよ、真白。セックスは最高に気持ちいいってこと、俺が教えてあげる」