第5章 感動の再会?
壁にもたれかかり声のするほうを見ると、見慣れた白衣がはためいている。
「あ…」
「大丈夫か!?って、大丈夫じゃないよな落ち着け俺、…とりあえず運ぶぞ!」
「えっえっ、え、……ひゃぁあ!!」
強引に抱き寄せられ視界が宙に舞う。足が地面から離れ、またお姫様抱っこをされていると気がつくまで、数秒。問答無用とばかりに進んでいく先生を呆然と見上げながら、驚いて声も出ない真白。
「あ……ここ、女子トイレ……」
「そんなん関係あるか。…できるだけ揺らさねーようにする…君たち、ありがとう。もう戻っていいよ。」
入口付近で心配そうに見つめるクラスメイトに、先生がにこっと笑って言う。
たちまち彼女たちは顔を赤らめ、か細い声で返事をするとそれに見向きもせず白衣をはためかせ歩く。
言葉通り、揺らさないようにできるだけ急いで保健室に向かってくれているのがわかる。
その優しさが嬉しくもあり申し訳なさもあり…心地よい揺れに身を任せて目を瞑ると緊張感がたちまちほぐれる。あっという間に…真白は眠りについてしまった。