第5章 感動の再会?
「ありがとうございます、センパイ♡︎」
「えっ__ちょ、きゃ!!」
差し出したままの手をおもいきり握られ、引っ張られる。手を差し出しているとはいえ、あまりしっかり立っていなかったので、当然いきなり引っ張られるとバランスを崩し、倒れ込む。それも、彼が座り込んで、足を広げている間に。
「っっっ……!!」
急な接近に顔が赤くなる。真剣な顔をした後輩と目が合ってなんとも言えず離れようとする。が、まだ手を握られたままなので、離れようとしてもぐいぐいと引き寄せられどうすることもできない。
「ちょ……!え、なに…!」
___授業始まっちゃう……!!
今は授業と授業の間に設けられている10分の休み時間。トイレから教室に戻ろうと、廊下を歩いていたのだが…なんの因果か、床のシミを見ながら歩いていたら運悪くぶつかってしまい、今に致る。
「オレ、1-Aの名雲 涼也《なぐも りょうや》って言います」
「あ、うん…」
至近距離で見つめあったままいきなり自己紹介されても困る。それに、なんの接点もないのに自己紹介をしておく意味はあるのか。
「センパイは?」
「え、あ、…わたし、は、柏木__」
「嘘です。知ってますよ。……真白センパイ」
__いや、なんで知ってるの!?
涼也は立ち上がり、真白のことも起こしてくれる。ホコリを払うように少しスカートを叩いてくれて、ためらいがちに礼を言うと、またもニッコリ笑って言った。
「これからよろしくお願いしますね、センパイ?」
__え、なにをよろしくすることが……
困惑気味な真白を置き去り、涼也は去っていく。その後すぐにチャイムが鳴り響き、真白は慌ててクラスに駆け込んだ。