第5章 感動の再会?
『ましろちゃん、だいじょーぶ?』
覇気のない顔で俯いていた帰り道。
後ろから、同い年の男の子が話しかけてきて。
緩慢な動作で振り向いて、得意の愛想笑い。大人や周りに心配や迷惑をかけない、かけてはいけない、という義務感は幼い真白に根付いていて、いつからか愛想笑いと嘘だけは上手くなった。
この時も、笑って『だいじょうぶだよ』というつもりだった。のに。
『ましろちゃん、まえみたいにわらってよ』
___『え…』
『最近、ましろちゃんなんかつらそう。かなしそうなかおしてるよ』
笑ってる。笑ってるよ。
心では反発しているのに、真白の口からは何も出なくて。かわりに涙だけが溢れてきて、止まらなかった。
普段あまり表情をださない真白の号泣に、初対面のウタはあからさまに狼狽えた。とりあえず、なきやむまで一緒にいると、ウタは家の中に招待してくれ、その言葉通りずっと真白の傍にいて慰めてくれた。何も知らないのに。何も関係ないのに。まったく赤の他人からもらった優しさに、真白は本来の人懐こい笑顔を見せた。
真白が泣き止むと、ウタは色々な話をしてくれた。真白と通っていた保育園が同じだったこと、でも組が違ったのと真白は休みがちだったので、話しかけられなかったこと。通う小学校も一緒で嬉しかったのに、クラスが同じにならなくて悲しかったこと。家が隣だと気づいたこと。その時の気持ち……。
飽きず永遠と続きそうな会話に、真白は久しぶりに他人の温もりと心地良さを感じて、長い間家に居るのはよくないと普段なら考えそうなのに、そんなことも忘れて話に没頭した。