第5章 感動の再会?
乳幼児期に手をかけてもらっていた記憶なんてない。ほとんど覚えていないのだろうが、もしかしたら本当に世話なんてされていなかったのかもしれない。わからない。
それでも、両親に望まれたから真白はここにいるわけで。
初めてのことばかりの世界は、幼い真白にとって楽しすぎた。それでも段々と環境に慣れていくうちに、孤独を感じたのは小学校低学年の事。
まず、朝起きてもリビングには誰もいない。
朝食にはダイニングテーブルにパンが置いてあるだけ。手紙も何も無い。両親は真白がぐっすり眠っているうちに出勤準備をしているため、生活音も聞こえない。まるで、広い家に自分一人がぽつんと存在している様な、そんな気分。
給食は学校で食べる。給食費は滞りなく支払われているので、そこは問題ない。必要な書類やお金は、手紙を置いておけば朝には準備されているので、感謝はしている。…しているが、甘えたがりのこの時期には、直接渡されない、話もしてもらえないという現実がとても悲しいもので、真白はいつもいつも押し潰されそうだった。
晩御飯ももちろん一人。冷蔵庫に食べ物が準備されている時はそれを食べ、ない時は自分で用意する。そんな生活をおくって、小学2年生の時には、期待することをやめた。
鬱々した表情で学校に通う真白を隣の家の兄弟が救ってくれるのは、もう少し先の話。