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紙一重

第5章 感動の再会?




「そうだ!俺ね、シチュー作ったんだ」
「え…!!」



__律くんの、シチュー!!



数十分前、その味を思い出してシチューを作ろうとしていた真白にとって、それは運命的に感じられる言葉だった。まるで、考えていることが同じような、繋がっているような__。

まあ、真白もそこまでロマンティストではないので、そんなことはありえないとわかっているのだけれど。



__でも、そう思ってるだけなんだから…いいよね、きっと。



律がキッチンへと移動し、手を来て来てと動かすので、ちょこちょこついていく。近づくにつれてシチューのいい匂いが強くなって、おもわず目を細める。



「ん〜……、いい匂い…」
「ほんと?」



鍋の蓋が律の手によって開かれると、中にこもっていた煙が一気に溢れ出す。



「う…わぁ、美味しそう……」
「ふふ、真白の為に作ったんだよ」



ぐつぐつと目の前で煮える白い液体が、真白がずっと忘れられなかったシチューだなんて、現実味がない。まだ実感なんてないのに、ぼんやり「ああ、ほんとに律くんがいるんだ」と脳は理解していく。



「…昔も、こうやってシチュー作ってたよね」
「そうだね…、今の私がいるのは、紛れもなく律くんとウタくんが居てくれたおかげだよ…。」
「なーに、いきなり」
「いや…ほんとに、そうだなぁって思って」



もし二人がいなかったら、真白はいまごろどうなっていたのだろう。


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