第4章 微かな違和感
恥ずかしいのに、なんか…変な気持ち。
真白は自然と赤らむ顔を覆いながら、降ろされる時をじっと待っていた。
ふわっとした感覚が背中に当たる。ゆっくりとベッドに降ろされて、頭は枕に徐々に沈んでいった。
まだ動悸が収まらない。
「よっ、と…大丈夫か?って、大丈夫じゃねぇよな」
先生がふわふわの毛布をかけてくれる。包まれる感覚が心地よくて、眠くなってきてしまった。が、依然腰は痛みを訴えたままなので、寝ようとしても集中出来ない。寝返りもうてないので、真白はため息をついて先生の方を見た。
「なんで腰が痛いのかとか聞くつもりないから、安心しろよ」
「………ありがとうございます」
そういう事を致したから腰が痛いんだろ?と、暗に聞かれているような気がして、複雑な感情で礼を言う。
「まだ痛いか?おさまんない?」
「…多分、あと3日くらいしないと治らないと思います…」
自分で言ってげんなりする。
3日、というのは真白の勘だが、おそらくそれくらい経たないと治らないだろう。
「……そっか。体育とかどうすんだ?つーか、そんなんで家まで帰れんのか?」
真白は根っからの真面目なので、できるだけ授業などは休みたくない。
「体育は、気合いでなんとかします…帰りは、時間が合ったら、偶にウタくんが一緒に帰ってくれるので…」
「うたくん?」
「はい。栄羽汰君」
__迷惑かけたくないけど、ウタくんに手伝って貰って帰ろう…ああ、家が近くて良かった…
返事がないのが気になって、先生のいた方をもう一度みやる。先生は丸椅子をベッドの隣に持ってきて座った。真白と話を続ける気があるらしい。
「さかえ…栄、………」
「………どうしたんですか?」
「いや、って、お前………柏木、真白か」
さっき名乗ったのに、驚いた顔でこちらを見られても困る。真白に何かあるのだろうか。
「え、はい…」
「…………………………………」
それ以降、何か考えているように先生は黙り込んでしまう。どうすればいいのかわからず、真白は目を閉じていた。
しばらくして、先生が立ち上がった音がする。確かめると、やはり先生はいなくて、少し寂しくなる。が、先生はすぐに戻ってきた。