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紙一重

第4章 微かな違和感




ウタくんと教室の前で別れて、1日ぶりなのに随分懐かしく感じる自席に座る。途端、真白を見かけたクラスメイトが次々に心配の声をかけてくれる。いつも通り、ゆるく微笑んで「大丈夫!心配してくれてありがとう」と告げると、友人たちは一様に安心した素振りを見せる。

そういえば、と反射的に机の中を探る。また何か紙が入っているんじゃないか。あってほしくない気持ち半分、あれだけで終わるはずないという気持ち半分。緊張を裏切るかの様に、机の中には何も新しい紙は入っていなかった。



「は………、よかった、の、かな…」



なんともいえない気持ちのまま、ホームルームが始まる。先生の声は耳を通り過ぎるばかりだ。



「__ぎ、わぎ、柏木!」
「…っ、はい!!」



何も考えずぼーっとしていたら、突然先生に声をかけられる。まだホームルームの途中だ。皆の視線も集まっていて、居心地が悪い。まったく話を聞いていなかったのでなぜ呼ばれたのかなんて見当もつかない。



「やっぱりまだ体調悪いんじゃないか?」
「え……」


「そうだよ!真白すごいぽーっとしてるし」
「大丈夫?」
「先生、真白保健室連れてった方がいいんじゃないですかー?」



え、え…なに?



皆に心配をかけているのか、先生もそうだな、とあいずちを打って行ってこいと言う。この場はとりあえず保健室に行かなければ終わらなさそうだ。健康で保健室とは無縁だった自分が保健室に…なんて、数日前の真白には想像できなかったことだ。



「じゃ、あ…行ってきます」
「おう!辛かったら寝てきてもいいぞ、というか早退も考えとけ。」
「そだよ〜ゆっくり休んできな!」
「真白出席日数十分足りてるんだからなんも考えなくていんだよ〜」
「うん、ありがとう…」



教室をでて、廊下をとぼとぼと歩く。



保健室、か…
行ったことないな…



謎の緊張感をもちながら、保健室のある1階へ階段を降りていった。

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