第4章 微かな違和感
「おはよう、ウタくん」
「…え、ましろ?」
いつもなら滞りなくおはようと言い合う朝。
だが、今日は違った。
行きたくないけど行かなきゃ行けない学校。きっかり7時に目覚めた真白は、仕方なく支度を始めてなんとか腹にパンを詰め込んだ。いつもウタくんを待たせていて悪いので、今日は5分前に家の前できちんと待っていた。
なのに、出てきたウタくんはまるで幽霊か何かを見たように驚いて固まっている。
え、わたし…何か変?
「……どうしたの?」
恐る恐る声をかけると、はっと我に返ってぎこちない笑みを返してくれる。
「ごめん、なんでもない。体調悪いって言ってたから今日も休むのかと思って。ちょっとビックリしただけ」
………そっか、確かにあの日は憂鬱すぎてかなり具合が悪そうに見えたのかも。
ウタくんにさっきまでのぎこちない態度は無い。あくまで、いつも通り。そう、いつも通りに真白は学校生活を送らないといけない。その前日に、例え知らない男に処女を奪われていたとしても。