第3章 最悪な出会い
元の位置に戻そう、と思っていても指は勝手にノートをめくる。流石に悪いと罪悪感が募るが、好奇心には勝てずパラパラとページを流していく。
(白紙…?かな。何も書いてない…)
最後のページまで何も書かれておらず、見落としたんじゃないかと最初のページからもう一度めくっていく。
(あ、書いてあった…)
やはり見落としただけだった。最初のページにはボールペンで何か綴られている。
「………え、なに、これ、」
___さいあく。
なんで、なんで、わたしが?
こんなことされなきゃいけないの…
こなければよかった、かえりたい
かえして…わたしのはじめて…
もうやめて…
まったく見覚えのないノートに、まるで先程の真白の様な感情が描かれている。というか、もうこの状況に合致するのは真白しかいないんじゃないか。
しかしノートにも見覚えはないし、書いた覚えも一切ない。
(…いや、でも私、気を失ってたし、その前に書いてたら見覚えがなくても当たり前じゃない?)
わからない。わからないけど、自分が書いたものなのかもしれない…
自分の行動が記憶にないことが今更怖くなって、ノートを閉じ慌てて元の場所に戻す。
気味が悪いものを見た。自分が書いたのだとしても、もうここから出るのだからあの日記の続きを書く訳では無い。
呼吸を整えて、軋む体に無理やり服を着せた。