第3章 最悪な出会い
声をかみ殺して静かに泣いていると、ドアが開く音が聞こえてくる。慌てて寝たふりをし、まぶたを硬く閉じる。
「…寝てんのか?」
__寝てます。あなたに最低なことをされて傷ついてるんだからもうほっといて…
というのは心の中で留めておいて。
一向に返事をしないので寝ていると思われたのだろう、足音が遠ざかっていってもう一度ドアが閉まる音。
人の気配がなくなって、真白はひとつため息をついた。
気だるい体に鞭打って、なんとか上半身だけ起き上がる。
「……っ」
腰が痛い___!!
眉根をしかめつつ部屋を見渡す。黒と白でまとめられた清潔感のある部屋。真白が横たわるベッドが大きく物凄い存在感がある。寝室、なのだろうか。ふと、ローテーブルの上に自分の服がたたまれて置いてあるのが見える。それを見た瞬間、自分は何をしているんだろうと我に返る。
なにやってるの、早く逃げなきゃ!
そこに服もあるんだし、明日も学校だし、なにより、ここにずっといたらもっと嫌なことをされるに決まってる__!!
足腰が役に立たないので、這って服をとり、なんとか下着を身につける。そういえば、あんなに痛かったのに血はでていない。
真白はドアに耳を当て、周囲の音を拾う。なんとしても脱出できるよう、自分を鼓舞しながら明日はきちんと学校に行こう、と固く決意をした。