第2章 いつもの通り
「おはよ、ましろ」
「ウタくん、おはよう」
栄 羽汰《さかえ うた》君は、毎朝迎えに来てくれる隣に住む幼なじみだ。今日も準備が遅くなった私に対して、小言のひとつも言わず挨拶してくれる。
柏木 真白《かしわぎ ましろ》。この名前が私が産まれてから始めてもらったプレゼントだ。
小学生の時は、「真っ白」だとか色に見立ててからかってきた子もいたけど、とても気に入っている私の大好きな名前。
友達や先生に名前を呼ばれる度に嬉しいが、私はあまり表情がでにくいらしい。ウタくんによると、切れ長で大きな瞳も私にクールそうなイメージをうえつける要因だとか。
肩甲骨あたりまで伸びたサラサラストレートな髪は、名前に反して真っ黒。黒だろうが白だろうがあまり手入れのかからないこの髪の毛は自分で自分を褒められる唯一の長所。
対して、短所は沢山ある。
思った通りに言葉にできないところ、冗談が通じないところ、それと_______、少し、感度が良すぎるところ。
数えあげればキリがない。
皆みたいに上手く友達付き合いできないのも、私が天然と言われる事になにか関係あるのだろうか。
「いこっか」
「うん」
鍵を閉めて、ウタくんと歩き出す。
もちろん、待たせてごめん、はきちんと伝えた。