第3章 最悪な出会い
どさ、と華奢な体が俺の腕に倒れてきて、それをしっかりと受け止める。
少し乱暴すぎたか、
心にもない反省をし目の前の少女をお姫様抱っこすると、ふと周りの視線が集まっていることに気づく。
確かにさっきまでの行動を見ていれば不審だと思うのが普通だが。
俺は特に慌てることも無く、にっこりと微笑み
「大丈夫です、ちょっと連れの体調が悪いみたいで」
少し愛想を振りまくと、こちらを見つめていた女共が頬をぽっと赤らめあからさまに安心したように視線を逸らす。
落ち着いた歩調で、なにもやましいことはないとアピールしてから、駅を後にする。
途中、逆ナンされるが冷たく一蹴し、腕の中で眠る小柄な少女を見つめる。
黒く真っ直ぐな髪の毛に、小さな顔。
目は瞑っているが明らかにぱっちりしてそうで、鼻と口の大きさもバランスが良い。
儚そうな雰囲気だが、きちんと抵抗していたところをみると、意外と気が強いのかもしれない。
起きるのが楽しみで、思わずふっと笑ってから徒歩5分の高層マンションのエントランスをくぐる。
「あー…はやく抱きてぇな」