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ONE PIECE短編集

第10章 触れる代償が尽きるまで(トラファルガー・ロー)


ベッドの縁に腰を掛ければもぞもぞと布団が動いた。
盛り上がった山を撫で、布団の中に手をいれて彼女の体に触れる。体温が直に感じられるほど服は薄く、触れた先は腹だった。
反対に向けていた顔がこちらをみた。
キラリと瞳が光ったかと思えば腰の辺りに無機質な固いものが向けられていた。

「飲み足りないから呼びにきた?それとも夜這い?」
「どっちがいい?」
「どっちもお断り」

カチャッとセーフティーバーを外す音。
向けられた拳銃が胸の高さまで上がった。

少し起き上がったことで見えたその顔は、化粧が落とされた所為かずいぶんと幼い。
女は化粧で別人にもなれると言うのは本当だなとどうでも良いことが頭をよぎった。
いや、彼女が素顔と化粧の顔が別人とは言っていないが。

「男だらけの船に乗っておいて、はいそうですかなんて今までまかり通ったか?」
「乗せて貰う対価は示したでしょう」
「じゃぁ純粋に楽しまねぇか?」
「だからさっきも言ったけどお断りよ」

早く出ていってと銃口でドアを指される。

拳銃片手ににこりと笑う女に、気が強ぇなと素で笑う。
まぁそうでなければ女一人で旅など出来ないだろう。
だがこちらも引く気はない。
飢えている訳ではないが、純粋に彼女を暴きたいのだ。気が強く、豪快で、それでいて品性があり、戦闘もできる、この女を。

「そんなもの脅しにならねぇぞ」
「オペオペの能力でどうにかできる、と?」
「まぁそれもある」
「そう、これが普通の銃ならそうかもね」
「……ッ!?」

ぐっと素肌に押し付けられた銃口。
途端にくらりと脱力する体に覚えがある。
これは…

「海楼石、か」
「そうよ。愛しい相棒」

胸を滑り喉元にきた銃は顎の下に押し付けられる。撃たれれば脳みそこんにちは状態だ。

「これなら脅しになる?」
「まぁ少しは」
「少し?命の危機は感じないの?」
「それなら今だけじゃなく常に感じている。今更だ」
「だからって、一時同じ船に乗っただけの女を襲うためだけに死にたくはないでしょ」
「一時、ねぇ」
「何よその含みのある言い方」
「他意はねぇ」

向けられた銃を握る。
ダルい。

さて、どうするか。



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