第13章 囚われたのは(トラファルガー・ロー)
「まって…」
甲板の手すりにかけより軍艦を見る。
少しずつ離れようと動き出す船に焦り、手すりに足をかけて海に飛び込もうと身を乗り出した。
「諦めろ。お前を手放す気はねェ」
再び腹に回る腕。
後ろに引き寄せられ首を捻って見上げればトラファルガー。
「離せっトラファルガー!!」
「お前、トラ男の番なんだろ?」
「は?え、むぎわら…」
「よかったな、会えて!」
「はぁ!?」
目の前に伸びてきた麦わら帽子の男はこのトラファルガーと共に今世間を賑わしてるモンキー・D・ルフィ。
よろしくな、名前なんだ?と私が海兵であるのにも関わらず握手してくる。
「お前ぇにはもったいねぇくらい美人だべさ」
「うるせぇよ」
「あなたがクロエね。女性は少ないから仲良くしましょ」
「ニコ・ロビン…」
トラファルガーに絡むとさか男に、にこやかに挨拶をしてくる背の高い美女。
なんで歓迎ムードなんだ。
「トラファルガー!どういうことだ!」
腹に回されたままの腕から抜け出そうとするが、生憎私は非戦闘員で、億越えの男の腕をほどく事はできなかった。
「お前は俺の番だろ。だから迎えに行った」
「私は海兵だぞ、海賊ども!」
「関係ねェな。海賊は欲しいものは奪うまでだ」
振り返り海を見るが、もう軍艦が小さくなってしまっている。
完全に拐われてしまった。
「番じゃなきゃ勃ちもしねェ」
「知らないわよ」
「俺に一生飢えてろっていうのか」
「そうよ」
「ごめんだな。それにお前こそあの恥体っぷりだ。フェロモンは撒き散らさずとも発情期はきついだろ」
「なっなんてこと言うの…」
手を突っぱねて距離を取ろうにも腕の力は緩めてはくれない。むしろ腰を抱くように手が下がっている。
「もう一度言う…」
顔を掴まれ無理矢理上を向かされ目が合う。
「諦めろ。せっかく出会えた番だ。骨の髄まで愛してやるよ、クロエ」
薄く笑った顔に、心臓がドクンと音をたてた。