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ヤキモチが止まらない【恋人は公安刑事】津軽高臣編

第1章 公休日の前日〈主人公目線〉


「ウサちゃん、凄く雰囲気の良いイタリアンの店があるんだけども、車で、たった一時間半くらいしかかからないから、ウサちゃん、明日公休日だし、大丈夫だよね?」

(たった一時間半しかってーーー、往復三時間もかかるよ!)

「え!い、一時間半もですか!?」

思わず、大きな声で言ってしまった。

「え?ウサちゃん、嫌なの?俺と晩御飯食べに行くの?」

「いやいや、行きたいですけども、一時間半は........」

「大丈夫だよね?ウサちゃん、明日公休日だし?」

有無を言わせない津軽さんの言葉にわたしは、

「ハイ、ダイジョウブデス」

遠い目になって、こう答える他なかった。

津軽さんは、やたら混んだ道を選んでいるかの様に、渋滞した道ばかりに車を走らせている。

(これ絶対わざと!これ絶対わざとだよ!)

「今日は、華金だから混んでるね、ウサちゃん」

津軽さんが、わざとらしい困った顔で言った。

「まあ、凄く良い店だし、ウサちゃん、折角、明日公休日だから、大丈夫だよね?」

(やたら、公休日だから、公休日だから、大丈夫だよね?ってーーーー!)

わたしが絶句していると、津軽さんが言った。

「ウサちゃん、もしかして、明日大事な用事でもあった?」

「いや、無いんですけども、こんなに渋滞してると、一時間半以上かかりませんか?」

「まあ、ウサちゃんも行きたがってる事だし、ドライブだって思って、津軽さん ウサちゃんの為に、頑張って運転するよ」

(いやいやいや、全然行きたがって無いです!)

っていう心の声が爆発しそうなのを堪えて、わたしは、言った。

「ホントウニ、タノシミデス」

「楽しみだね、ウサちゃん」

なんと、目的のイタリアンのお店に着くのにかかった時間は二時間強だった。

「やっと着いたね。ウサちゃん」

「ソウデスネ」

わたしは、放心状態で言った。

確かに、そのイタリアンのお店は高台にあって、夜の街を展望出来る、素敵な場所にはあった。

お店に、入ると、お店の人が言った。

「後、三十分で閉店なので、ラストオーダーになりますが、大丈夫でしょうか?」

(ここまで来て、ラストオーダーって!!)

津軽さんが言った。

「ラストオーダーかー、じゃあ、折角だけど、また今度にします。大丈夫だよね?ウサちゃん?明日公休日だし」

「ハイ、ダイジョウブデス」
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