第6章 津軽さんの喜び組さん 《主人公目線》
「ウサちゃん、バックと鍵取りにおいで。もう、無茶な事は言わないから。ごめん、悪かった」
津軽さんは、そう言うと、わたしの手を優しく握ってマンションのエントレスに入った。
津軽さんと二人でエレベーターに乗った。
津軽さんが最上階のエレベーターのボタンを押した。
「俺は、一番カッコ付けたい君には、本当にカッコ悪い姿ばかり見せてさ。自分でも笑っちゃうよ」
津軽さんが自嘲気味に笑った。
「津軽さんの喜び組さん、お疲れ様。心配しなくていいよ。君と最後まで行くのは、ウサちゃんの納得の上でしたいから」
「津軽さん......」
(津軽さんが、ヤキモチ妬くのも、わたしを好きでいてくれてるから、そう思うと、なんとなく、胸がチクリと傷んだ)
エレベーターが最上階に着いた。
津軽さんは、わたしの手を引いて、津軽さんの部屋の前まで来ると、
「待ってて、ウサちゃんのバック取って来るから」
と言った。
津軽さんは、わたしを玄関に待たせて、わたしのバックを持って来ると、わたしに渡した。