第6章 津軽さんの喜び組さん 《主人公目線》
「津軽さん、大事な言葉をなおざりにしていてごめんなさい」
津軽さんが、驚いた様な瞳の色でわたしを見つめている。
「わたし、津軽さんが大好きです。津軽さんが、わたしを大好きで、大事に思ってくれてた事も凄く分かりました。あの、今までよりも、ずっと、えっと...今日の....あの...キスで分かりました。津軽さん、ありがとうございます」
わたしは、津軽さんに深深と頭を下げた。
「ウサちゃん、君の瞳に俺だけしか写したくない。分かるだろ?」
津軽さんが、わたしの眼を真剣に見つめて言った。
「俺達は、公安刑事だ。仕事上で、君が色んな男と関わるのは、仕方ないと思っている。でも本当は、俺がどれだけ苦痛か分かってるのかな?」
「そ、それは...」
「ウサちゃん、俺が仕事上、女との関わりを切れない事を君だって、心の中に葛藤だってあるだろ?」
「ないと言えば、嘘になるかも知れません。でも、わたし、津軽さん、信じてますんで!」
津軽さんが、ハッとした顔で、わたしを見つめた。
「津軽さん、わたし津軽さんを心から信じているんです。でも、津軽さんが、嫉妬深くて面倒臭い人だって事も知ってます」
「おい、ウサちゃん、嫉妬深くて、面倒臭いってちょっと言い過ぎじゃない?」
「だって、津軽さんって、そうですよね?」
「ウサちゃん、あのさぁ、せっかく、いい感じでバック渡してさ、カッコイイ津軽さんは、このまま、一人でベッドで寝ようってしてんのに、それは、ないんじゃないかな?嫉妬深くて面倒臭いとかさ」
「だって、そうですよね?」
「いや、そうだよ」
「じゃあ、そうですよね?」
「あのさ、ウサちゃん、嫉妬深くて面倒臭いってさ.....ちょっと、津軽さんが可哀想じゃない?」
「津軽さん、同棲しませんか?」
「え..!」
「会える時間少ないから、わたし達」
「ウサちゃん、うーん。同棲いいよ。うん、いいよ。うん、たださ、ちょっと聞きたいんだけど.....」
「なんですか?」
「同棲するって事は、あれだよね?」
「あれとは?」
「あのさ、あれだよね。一緒に俺のベッドで寝るって事だよね?」
「はい、津軽さんがそうしたいなら」
「って、事は、あれは、当然だよね?」
「は?」