第5章 公休明け 《津軽目線》
公休明けの月曜日、俺に偽証して、男とヘラヘラ会って、指輪なんか見て回っていたウサの事が、頭から離れない。
無防備なヘラヘラ顔を、あの男に見せていたウサ。
(あんな顔、他の男に見せんなっつーの!)
親密ではあるが、二人に恋愛感情がないことは、分かっていた。
だからと言って、ウサを許せる程、俺は物分かりのいい男ではない。
(だって、当然だろ?こっそり、ウサは、男と会ってたんだから!)
あのヘラヘラ兎に、どう、焼きを入れてやろうか考えていると、
デスクの片隅に放り出していた週刊誌が目に入る。
某国の太った書記長の重篤説...........
閃いた......!
あのヘラヘラ兎の落とし前は、某国の書記長バリの『喜び組』& 強制労働に決定。
ウサの落とし前の取らせ方が決まると、俺は何だか少し浮き浮きして来た。
この際だから、とことんウサで楽しませてもらうつもりだ。
俺は、ハラペーニョチョコバナナを、ゆっくりと口の中で味わいながら、ヘラヘラ兎の登庁を待った。
「おはようございます」
と言って、ヘラヘラ兎が、無駄に元気に登庁して来た。
俺にバレてないとでも、思っているのだろうか?
まぬけ面で、俺に挨拶して来る。
満面の笑みで、ヘラヘラ兎に、
「おはよう」
と言った。
俺の満面の笑みの恐ろしさにすら気付けないウサは、俺の後ろを通り過ぎると、自分のデスクに座って、報告書の作成を始める様だ。
俺の視線に気付いたウサが、俺をチラチラ見ている。
満面の笑みで、ウサにガンを飛ばす。
(ウサのまぬけ面を見ていると、あの無防備なヘラヘラ顔で男と一緒だった姿が、頭を過ぎる!!ムカつくつーーの!!!!)
満面の笑みで、ウサにガンを飛ばしながら、午前中の仕事を終えた。
敏感なモモが、捜査中でデスクに居なくて助かった。
昼休憩で、ウサを警察庁近くの、洋食屋に連れ込む。
注文を終え、ヘラヘラ兎に尋問をする。
「でさ、あの優男誰?」
「へっ?」
ウサは、ヘラヘラと指輪を買いに行った男の事だと気付きもせずまぬけ面。
「だから、昨日ずっと一緒に指輪見てた優男」
ウサの目が大きく見開かれる。
あたふたと言い訳を並べるウサ。
「ウサちゃん、津軽さんに嘘つくって、それはどうかな〜って思うんだよね」